「メンバーみんなの好きなものが詰まったおもちゃ箱みたいなアルバム。ざらざらしたギターと淡々としたリズムがかっこいい『くつした』の新作、是非お聞きください。」(少年ナイフ / なおこ)
京都の男女混成3ピースインディロックバンドの初公式アルバム!ラモーンズとパフィーの間を目指すと宣言する、パンクでロックンロールな極上ポップチューン満載の衝撃盤!
京都在住の女2人+男1人による3ピースバンド「くつした」の初公式アルバム!2015年に自主制作したCDが話題を呼び、地元タワーレコード京都店での大展開&インストアイベントも大盛況となる等、自主盤としては異例の注目を浴びる。その後サザナミレーベルのガールズコンピ盤に参加し、世界中のガレージ系音楽を紹介するアメリカの人気ポッドキャスト番組Radio Free Bakersfieldにも取り上げられる。急激に期待が高まる中、待望のアルバムが遂に完成!話題となった自主盤との楽曲かぶりは一切無し!オール新曲のオリジナル11曲を収録!「RAMONESとPUFFYの間をめざす!」と堂々と宣言している通り、パンクやロックンロールを主軸としながらもキュートでポップな魅力が満載!ながおか(Gt./Vo.)の少し気だるそうなボーカルと、随所に見られる日本人的メロディセンスとの相乗効果で、フォーク/ネオアコ的な甘い切なさも感じさせる。激プッシュタイトル!!
ミックス:前川和人 (ELECTRIC EEL SHOCK) / マスタリング:中村宗一郎 (PEACE MUSIC)
ディスクユニオン通販では特典予定あり!
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FOLLOW-UP(2016年4月号)掲載インタビュー全文公開!(紙面の都合で載せられなかった分もノーカット!) インタビュー:FOLLOW-UP編集部
・FOLLOW-UP初登場ということで、バンド結成の経緯を教えてもらえますか。
ながおか(G/Vo):プロフィールでは「2010年、京都にて偶然同じ靴下をはいていた三人が出会いくつした結成」ということになっていますが、実はこれ、半分本当で半分嘘というか。
まち(Ba):「同じくつしたを履いていた」っていうのは本当なんですよ。
ながおか:もともと三人とも大学の部活が一緒で。フォークソング部っていう軽音部みたいな感じの部活でした。部活の飲み会があって、座敷の居酒屋だったんですけど、一緒に飲んでたまちの足元を見たら偶然同じ靴下を履いてたんですよ。
まち:それも「これは誰とも被らんやろう」っていう感じの変な柄の靴下で(笑)。
ながおか:それで「バンドしよう!」ってことになりました(笑)。酔った勢いですね(笑)。
まち:なので、最初から三人だったわけではなくて、本当は私とながおかのユニットでした(笑)。プロフィールは設定というか。
ながおか:私がキーボードで、まちがギターっていう編成でやってました。当時はリズムをキーボードにプリセットで入っているリズムを鳴らせて、それに合わせて演奏するというかなり不思議な感じでやってましたね。今考えるとすごい勇気ですね(笑)。当時やってた曲で今もやってる曲もあるんですよ。「まえがみカッター」とかはそうですね。しばらくはユニットで活動してたんですけど、やっぱり編成に無理があるというか、限界を感じてバンドの編成でやろうと思っておくむらを誘いました。
おくむら(Dr):僕は当時同じ部活で違うバンドをやってたんですけど、年上の人たちとやってたバンドで、その人たちの卒業と同時にバンドも解散みたいな感じになって。どうしようかなと思ってたところでながおかに誘われました。タイミングも良かったし、ユニットのくつしたも見たことがあって、面白いなと思ってたんでじゃあやってみようかなと。こんなに長くやってCDも出すなんて当時は考えて無かったですね(笑)。
・京都は学生が多いということもあって、次々と新しいバンドが出てくる印象がありますが、シーンの現状はどうなのでしょう?仲の良いバンドや気になるバンドはいますか?
ながおか:学生のうちからちゃんと活動してるバンドは多いですね。Home ComingsとかTHE FULL TEENZみたいに学生のときからフジロックに出演しちゃうようなバンドがいるのはすごいなと思います。世代の近いバンドも多いのでいい刺激になります。
まち:みんなで刺激しあって、結果的に京都のバンドシーンが盛り上がってる感じがありますね。そういうムーブメントをみんなで楽しんでるというか。
おくむら:ライブハウスもたくさんあるし、環境が整ってるなと思いますね。東京とか大阪みたいに大都市っていう訳ではないけど、バンドも多いし、バンドをバックアップしてくれるライブハウスとか温かい人たちもいて、バンドをやりやすい環境だと思います。
ながおか:シーンの現状とかは、自分たちもその中にいるっていうのもあって正直解りません(笑)。ただ他府県の人たちからは若くて活気のあるバンドが多くていいなっていうのをいわれます。音楽性では、世代っていうのもあるかもですが、90年代リバイバルというか、影響をうけているんだろうなというバンドは多いかなと思います。あと最近はオールディーズとか60~70年代のルーツミュージックが好きそうなバンドも多いですよね。
まち:京都で仲がいいのは、同世代だと「Home Comings」は大学の部活の後輩なんですよ。完全に後輩のほうが有名で先輩の立場無いんですが(笑)。「メシアと人人」は結構前からよく対バンしてて、主催のイベントなんかにも呼んでもらったりしてますね。「THE FULL TEENZ」の伊藤くん(G/Vo)も一緒に飲んだりしますよ。あとは「ロック大臣ズ」も仲良いです。
おくむら:上の世代だと「星の王子さまたち」「台風クラブ」「FIGHT CLUB」とかは仲良くさせてもらってます。みんなすごくいいバンドですよ!
・「RAMONESとPUFFYの間をめざす!」というバンドのコンセプトが絶妙で、とても分かりやすいなと思いました。これは結成当初から掲げていたのでしょうか?
ながおか:結成当初からではないんですが、音源がない時代に「どんなバンドなんですか」って聞かれたときに答えに困ってたんですよ。誰もが知ってる音楽で上手く伝えられないかなと思って考えたのが「RAMONESとPUFFYの間」です。そんなにこだわりは無いですね(笑)。
まち:自己紹介的な感じだったんですが、前作の自主製作盤「WAO!!!」のときはパンキッシュなところもあって「RAMONESとPUFFYの間」って堂々と言えたんですが、今作「きのうみたゆめ」にはいろんな要素がプラスされてて、必ずしもこのキャッチコピーが合ってるとは言えないかもですね。
おくむら:考えた当時はうまいこと言えたなと思ってたんですが、今はちょっと大きく出すぎたなと思うところもありますね(笑)。「目指す」なんでまあいいかなとも思いますが。
・今回なおこさん(少年ナイフ)から推薦コメントをもらっていますが、サウンド面でもやはり少年ナイフの影響もある気がします。先ほどの「RAMONESとPUFFYの間」というのも、ある意味で少年ナイフですよね。
ながおか:影響はかなりありますね。私を作った音楽は紛れもなく少年ナイフでしょうね。初めて聴いた時は衝撃でした。
まち:私も大好きで、学生のときにコピーしてました。
おくむら:僕は逆に少年ナイフほとんど通ってないんですが、通ってない分違う解釈がバンドに生まれていいかなと勝手に思ってます(笑)。でも決して嫌いな訳ではなくて、ながおかやまちに聞かせてもらってすごく素敵なバンドだなと思いますよ。僕はちょっと天邪鬼な性格なんで、すごく勧められると受け入れられないところがあるんですよ(笑)。いつか素直になってちゃんと聴きます(笑)。
ながおか:いい意味で笑っちゃうところもあるのに、なんだか切なくて。歌詞とメロディーのマッチングがすごいとしか言えないです。好きなバンドはたくさんいるけど少年ナイフは特別ですね。
まち:音楽的な影響ももちろん受けましたが、今でもバリバリ活動してる、バンドに対する姿勢にもすごく憧れますね。コメントを頂いて感動しました。ぜひ共演したいです!
・他に影響を受けたアーティストがいれば教えてください。
ながおか:これは難しい質問ですね(笑)。メンバーに共通しているのは、ベタですがビートルズはじめ70年代ロックはみんな影響受けてますね。わたしはひとつだけ挙げるなら双葉双一さんかな。学生の時友達から教えてもらったんですけどすぐ夢中になりましたね。こんな人が現代にいるんだ!っていう。ユーモアのある歌がすきですね。
まち:もともと好きだったんですが、The Who、The ClashとかThe Rolling Stonesみたいな70年代のロックはくつしたを始めてからより意識して聴いてました。京都に住みだしてから、村八分やボ・ガンボス、くるりを知って学生時代はたくさん聴きましたね。
おくむら:僕はJimi Hendrixとか、The Jon Spencer Blues Explosionみたいな、ギターヒーローに憧れがありますね。じゃあギターやれよって話なんですが(笑)。自分がそうじゃない分、骨太のかっこいい男、みたいなのが好きです。
・今回サザナミレーベルからのリリースと言うことですが、以前から交流はあったのでしょうか?また同レーベルで聴いていたバンドはいますか?
ながおか:ゴーグルエースは知ってました!
おくむら:僕も知ってましたね。CDを作らないかって話があったときに「ゴーグルエースだ!」ってびっくりしたのを覚えてます。
まち:私はガールズボーカルのバンドをやっているし、参考にというかみんなどうしてるんだろうと思ってそういうバンドを探して聴いていた時期があって、そのときに見つけたTHE PORTUGAL JAPANのCDは凄く聴いてました。あれ最高です!
ながおか:あと、THE PATS PATSとは以前から交流があって。前作「WAO!!!」のリリースツアーで初めて東京でライブしたんですけど、そのときに見にきてくれたんです。
まち:それまで会ったことも無かったんですけど、Sound Cloudを聴いて気に入ってくれたみたいで。ライブが終わった後に「最高だった!」って言ってくれて、その場で主催のイベントに呼んでくれたんです。
ながおか:すぐに仲良くなりましたね。同じように少年ナイフが大好きで、当時は編成が同じだったこともあってすごく話が合って。
思い返してみたら私たちの東京でのライブは全部見てくれてますね(笑)。
まち:レコーディングの時もわざわざスタジオまで差し入れを持って会いにきてくれて。嬉しかったです。見知らぬ土地にバンドで繋がった友達がいるのは不思議な感じですね。
おくむら:関西では今度サザナミからリリースするバレンタインズも交流がありますね。三人とも好き過ぎてライブを見てると胸が苦しくなって過呼吸になるんじゃないかってぐらいです(笑)。
・今回のアルバムについて、『きのうみたゆめ』のタイトル通り、全体的に儚さも感じます。「RAMONESとPUFFYの間」からイメージするポップなパンクロックだけでなく、もう少しフォークだったりネオアコだったり別の要素も感じます。このあたりについてはいかがでしょう?
まち:フォークソングは三人とも共通して好きだと思います。ネオアコ要素の部分は何でしょうね~。
ながおか:フォークとか元々そういう音楽が好きなので、自然に影響がでてるかなと思います。所謂ネオアコって呼ばれてるジャンルは全然詳しくないのでピンとは来ないんですが・・・(笑)。サニーデイサービスとか好きなのでそういうところからかな?でも今回はちょっとクールで、でも甘くてロマンチックな要素も出せたらなあって思っていたので良かったです。
基本的にポップなメロディーが好きです。RAMONESも歌詞の和訳とか見るととんでもないことばっかり言ってるけれど、ナイスメロディーですよね。プリティーだし。
おくむら:僕はドラムの部分しか分からないですが、ドラムの仕事は全体の演出だと思っているので、そういう意味ではムーディーさとかは結構意識して叩いてるかもですね。
ながおか:「RAMONESとPUFFYの間」の部分をよくフューチャーされるんですが、さっきも言いましたが、最近というか最初からそこを意識して曲作りしているわけではないんです。自己紹介的に言っていただけで、そこまで重要視してないんですね。
まち:「こういうバンドをやろう!」といって始めたバンドではないし、曲ごとでのニュアンスの部分で意識してやる部分はあっても、バンド全体で「こういう路線でいこう!」とか話したことないんですよ。なのでこれからもいろんな要素が加わっていくと思います。また楽しみですね。
・今回のアルバムの中で、メンバーそれぞれのイチオシ曲を教えてください。
ながおか もちろん全曲おすすめなんですけど(笑)。表題曲の「きのうみたゆめ」、「アメリカの休日」がお気に入りです。「悪魔のサイン」もかな。前作の「WAO!!!」には無かったノリですね。
まち:めっちゃ迷います(笑)。あえて挙げるなら「ミステリーユー」と「オンマイマインド」かな。
おくむら:僕は「山のうた」と「デイアンドナイト」ですね。僕が気持ちよくドラムを叩いてる二曲です。
・レコーディングはどうでしたか?ミックスやマスタリングも含めて経緯を教えてください。
おくむら:レコーディングは東京のスタジオで、エンジニアにElectric Eel Shockの前川さんを迎えてやらせてもらいました。前作は京都のスタジオで録音したので、場所の違いもあったし、レーベルオーナーの蒲池さんからもいろんな提案があったりで、すごく新鮮でしたね。
まち:私たちもレコーディングに慣れているわけではないので、二人の存在は凄く心強かったです、メンバー以外の人の意見が入ったことでよりよくなった部分もありますね。
ながおか:私は「ANOTHER TOWN」でピアノを使ったんですが、とても簡単な演奏なのにかなり苦戦しました。今回スタジオに置いてあったローズっていうエレクトリックピアノを使ったんですけど、古くて乾いた枯れた質感にしたかったので曲のイメージととても合ってると思います。いい仕事してくれてますね。
まち:ミックスはデモを聴いて、要望をメールでやり取りする形式で固めていったんですけど、ニュアンスの部分を文章で伝えていくのが難しかったです。良い勉強になりました。
おくむら:マスタリングをしてくれた中村宗一郎さんは、飄々とした感じの人なんですけど、すごい人でしたね。サウンドを聴いただけで僕が左利きなことを当てられた時、鳥肌がたちました!「エスパーだ!」と思いましたよ(笑)。
・昨年好評だった自主制作盤『WAO!!!』との曲かぶりが一切無いというのも潔いと思いました。このあたりも含めて、今回のアルバムと自主盤との違いはどういう点でしょうか。
ながおか:せっかく新しく録音するなら、ということで結構頑張りましたね(笑)。でも全曲このアルバムの為に書き下ろしたという訳ではないので、昔からある曲も結構多いです。
まち:メンバー誰も同じ曲を入れたいという意見はなかったですね。前作と違う形でアレンジが出来るほど器用でもないですし(笑)。
ながおか:歌詞がギリギリまでなかったり演奏が決まってなかったりと焦ったこともありましたが(笑)。
おくむら:前作より曲数も多いし、メンバー以外の視点や意見が入ったことで、なかなか自分たちだけでは表現出来なかった部分が形に出来てたかなと思います!
・今後の目標や展望を教えてください。
ながおか:ワールドツアー!アメリカとか行きたいですね。それと前作に「イスタンブールMAMBO」という曲があるんですが、トルコは昔からずっと行きたい国です。今は治安とかちょっと心配ですけど(笑)。後はプールサイドとかでライブしたいですね。暑いの苦手なんですけど、オファー待ってます!
まち:もっとレベルアップして、色んな人に聴いてほしいですね。もっと練習します!
おくむら:フェスとか出てみたいですね。野外でライブするのって気持ちよさそうだし憧れです。あと信じられないぐらいモテてみたいですね(笑)。ビートルズのライブ映像とかで女の子が失神するやつ、あれぐらいモテたらもう最高です(笑)。
・最後にFOLLOW-UP読者に一言お願いします。
ながおか:ドライブのお共に、お散歩のお供に、爆音で聴くもよし、しんみり聴くのもよし、今回のインタビューを読んでみて、興味を持ってくれたそこのあなた!ぜひ「きのうみたゆめ」を聴いてみてください!
まち:アルバムももちろんですが、今回私とながおかが監督して、初めてMVを撮りました!ビートルジュースやペットセメタリーからイメージしたチープ&キュートな仕上がりになっているのでこれも必見です!そして是非ライブにも遊びに来てください!
おくむら:読んでくれてありがとうございます。一生懸命作ったアルバムなので、是非聴いてください!そして手紙でもTwitterでも、もちろん直接でも感想教えてもらえたらすごく嬉しいです!